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元声優・漫画家・元小説家が語る!各創作世界に思うこと①

元声優・漫画家・元小説家が語る!各創作世界に思うこと①

一部の才能に恵まれた者しか活躍することができない、創作の世界。本物のプロになるには、センスだけでなく、各業界で必要な技術や知識を学ばなければなりません。

多くの者はその学びの間に挫折し、夢やぶれ、他の道を歩んでいきます。筆者ものその一人で、漫画家志望でしたが、才能が無かったため目指すことを諦めました。しかし、当方はまだ恵まれている方で、『漫画家として紙媒体で活躍できなかった分、一般の仕事では新聞という紙面で、文字を書くことができた』だけでも運がいいのです。

それだけ『プロフェッショナル』の世界は遠く険しい。そこで今回は、元声優、漫画家、元小説家を集めて鼎談!八尾市内某所で行ったインタビューを何回かに分けて、お送りします。

本物のプロだからこそ話せる、プロを目指すための大事なことが今ここに。

※注意 お送りする内容は、あくまで一個人の意見、各人の経験則を基に、『創作の世界はこうであって欲しいという切なる思い』をお伝えするものであり、批判などではなく、今後も明るい未来が続くことを願う内容となっております。また誹謗中傷などを避けるため、インタビューした3名の方は匿名とさせていただきます。

まずはキャストをご紹介

元声優さん

私は、声優の私塾を運営しています。(塾での考え方としては)横一列の気持ちで技術をお伝えしています。先輩たちからいただいたものを、後進にお伝えするのが役目だと思っています。

なので『先生』と言われるとイヤな顔をします(笑)。

漫画家さん

今はバイト勤めをしながら漫画を描いています。受賞歴としては、某漫画雑誌で毎月行われる新人賞で佳作を取りました。受賞することで、(次に)ウェブの方へ漫画が掲載される流れとなっています。

ウェブ上にいくつか新人の読み切り漫画が掲載されて、ランキング形式で『いいね』の数で順位が決まるシステムになっています。1位を取れば連載獲得、そうでなくても編集部内で話題性があれば(連載の可能性もある)といった感じです。

現在は、次の作品を考えている最中です。

元小説家さん

私は14歳のときにデビューしました。ホラー漫画雑誌で短編小説の募集があって、そこで受賞しましたね。デビュー後はいろんなところで、単発のお仕事をいただいていました。大手の小説雑誌とかファッション誌とか。その後10年以上断筆していましたが、現在はさまざまなところで脚本や原案などを手掛けています。

現在の各業界への感じることは

今の声優界。志望者をちゃんと育てる道筋が必要


筆者:まずは、元声優さんにお聞きします。現在の声優界を見てどう感じられますか?

元声優:いろんな思いもありますし、今、リアルタイムで頑張っている方々もいらっしゃるので、私の口からなんとも言い難い部分もありますが、(昔と今では)明らかに違いはありますね。

筆者:具体的には?

元声優:一番変わったのは、声優志望者たちで金儲けをしようという人たちが増えたことですね。これは明らかに変わりました。そこで問題なのが、声優志望者に知識が無いことです。中学生や高校生はやはり子供です。だから本当のことが分からず、そこに付け込む人たちが増えています。

ここの幼さだけは誰かがどうにかしないとマズイなと、今は思っています。何ができるというわけではないですが、せめて私の私塾に来た子たちだけは本当のことを伝えています。

フリー声優というアマチュアが増加。養成所もちゃんとした教育を

筆者:ネットの影響で、最近は声優の振れ幅も大きくなりましたよね。

元声優:(声優志望者の)数が増えたこと、ネットの普及により、誰でも簡単にネットの世界で声の仕事ができるようになっています。しかも安価で。

東京にはちゃんと俳優関連の団体があるので(単価は守られていますが)。大阪にはそれが無いのもビックリですが、それゆえに安価で素人を使ってでも声の仕事をさせるという状況があります。そのため、プロとしての資質や基礎的なものが無い、芝居もできない、にも関わらずプロと名乗ってしまっている方々がいます。

筆者:確かに動画投稿サイトとかでも、最近は一般人が声優のように声をあてていますね。

元声優:『フリー声優』という不思議なカデゴリーができあがっていますね。プライドはあるけれど何もできない人が増えている(印象です)。

しかし、それらは養成所にも問題があるのです。ある私の教え子が、高校へ進学せずに養成所に行きました。私は「やめなさい、役者にはちゃんとした一般的な知識は必要だから、学校へ行って学んだ方がいい」と話したのですが、行ってしまいました。

それから数カ月が経ち、ある日電話がかかってきて「私デビューしました」と連絡がありました。「何をやったの?」と聞くと「アーケードゲームで声をあてた」と。実際は掛け声程度の声をあてただけなのですが『それをデビューと言わせているのだ』と。大手でもそれなので…。自称声優という人が増えていて、フリーの声優というよく分からないカテゴリーが増えています。

筆者:プロの世界って、本来であれば守られるべき領域があるような気がします。

元声優:個人事務所が悪いとは言わないです。でも、私の私塾では大手しかおすすめしないです。なぜなら『食えないと意味がない』ですから。

趣味程度で安価でいいというのであれば地方で活動するのはいいですが、食べるためにはやはり東京です。(都会に集中しているとか)いろいろ言うのではなく事実そうなので。やって後悔するかやらずに後悔するかです。自分の人生は自分でしか責任はとれませんので。

勝ち方は私は分かるし、負け方だって分かります。だから君たちには私が居るよと、そこの道標に明かりを照らしてあげることができます。そこだけは揺るがない部分もあるので、迷うとこもあるけれど、迷わず行けば届くところがありますのでね。

(お話)支離滅裂ですけれどね(笑)

筆者:いやいや!熱い話をありがとうございます。そばで、ずっとうなずいている人もいますので!

元小説家:うんうん

元声優:こういうことは、ちょっと頭の回る方なら分かると思うのですよ。興味がある方って。でも、当たり前の話が中高生が分からないのです。

養成所はまず『ほめちゃいけない』のです。ほめる=プロなのです。だから(養成所時代は普通)ほめられるわけがないのです。だけれど、今うちに来ている子でも、いろんな養成所に行っていた子なのですが、「怒られたことあるの?」って聞いたら「無いです」と即答されたのです。ビックリしましたね。ご時世といえばご時世ですよね。

でも別の養成所ではめちゃめちゃ怒られている子もいます。それは先々必要なことです。

筆者:私も学生時代、漫画を学ぶために大学へ行ってて、ある准教授に「どうやったら漫画家になれますか?」と聞いたら「分かりません。死ぬ気でやってください」といわれたときはターニングポイントでした。「うーん無理だ!!!!!」と悟りましたね(笑)。

一同:爆笑

元声優:その場から引くというのも大事だと思います。(人生を歩むと)カクッカクッてなりますよねぇ。

漫画界でもアマとプロの敷居が下がっている?


筆者:では次に、漫画家目線で現在の漫画の世界に思うことはありますか?

漫画家:今の漫画。なんでしょうねぇ。ネットがやはり発達しているので、プロでない人でも漫画を描ける状態でみんなに見せられるので、敷居は下がっていますよね昔と比べて。

筆者:それはひしひしと感じます。

漫画家:デジタルもですよね。私、高校生のときアナログに挑戦してトーン貼ったのですが、それが全然貼れなかったです。でもデジタルだとボタン一つでパッと貼れるので描きやすい環境なのかなと思います。(私の場合も)液晶タブレットで描いています。

元声優:原稿見せてくれないんですよ。

漫画家:デジタルなので原稿が無いんですよねぇ

元声優:あっそうかぁ!(笑)
(二人は先生、生徒の関係です)

物語は深みよりもライトな内容が重視されている

漫画家:あとはジャンルでいうと、読みやすくてあまりストーリーが凝っていないキャラクター重視のものが売れる傾向にあると思います。今、読む人があまり深さを求めていない気がします。メッセージ性が強いものはあまり描かれてない。ライトな漫画は売れるのですが、消費されやすいので飽きられるのも早い。

作家性があれば売れるわけでないですが、あった方が長く続けられる。コアなファンの方が長い目でみたら結局大事だと思うので、ライトな漫画が一生食べていけるかといえば違うと思います。でも、昔と同じで自分のファンを見つけてひたすら描いていくというのは、一緒なんじゃないかなと思いますね。

筆者:キャラ萌え的なのは私が大学生のときにバッと上がってきた印象があります。それまでは、高校生のときはメッセージ性が強い漫画が多かった時期があったんです。

(大学生のときは)メッセージ性が濃い漫画よりも、可愛い女の子が描ける単純な漫画が好まれている傾向がありました。めちゃめちゃ絵のうまい子はたくさんいてました。女の子描かせたら抜群みたいな。

漫画家:そうですね。だから私は可愛い女の子が描けるように、いっぱい練習しましたね。

筆者:やっぱりそうなんですね。

元声優:みんなやっぱり、そっち方向になるんですね。今の声優界もナチュラル演技が増えています。有名声優もナチュラル演技をずっと教えているそうです。そっちに舵を切っている印象です。

漫画家:需要があるのでしょうね。

小説界もSNSの影響でキレイな言葉が乱されている


筆者:小説の世界はとくに昔から場が乱れつつあるようですね。

元小説家:小説の分野も結構、声優の方々と似ている部分があります。SNSのプロフィールに『小説家です』と記載があるのですが、見てみると受賞歴がなくて。

投稿サイトで書いているからという理由で、自ら名乗っている方々がほとんどでしたね。

筆者:小説家って私から見ると崇高な印象というか、言葉の美しさとか、言葉で心情、風景を伝え、読む側に想像させる仕事だと思っています。だからこそ、簡単に名乗れない肩書というイメージがあるんですけどねぇ。

元小説家:過去にダイレクトメッセージで、自称小説家から何度か「添削してください」と来たことがあったのですが、拝見したら文章を知らない方々が多くて…。

今と昔は違いますが、それでも一定のルールがありますし。そういったことを知っている方はいるのかな?という気持ちのなりましたね。

筆者:私も似た経験はありますね。直接的に関わったことがあるわけではないですが、私の場合、漫画家を諦めてせめて紙媒体に関わる仕事をと思い、新聞記者や出版の編集員を約10年やりました。やはり、ライティングも各分野によって書き方が違います。私は各分野の書き方を「〇〇文法」と区別して覚えましたね。

でも、ブログの普及によって、自称ライターが増えていて…。ライターって私情を挟んだ文章を書いてはいけないし、中立な目で文章を書くのが原則。また、取材対象者の魅力を引き出すのが仕事なのですが、どうも世間はライター=批評家と思い込んでいる気がします。

事実を事実のまま、きちんと整理して書くことができないのであれば、ライターは語っちゃいけないのですけれどね。

元小説家:受賞歴が無い方が多いですし、最近は自費出版の勧誘ではなくて、投稿サイトと出版社が手を組んで、サイト内で見つけた一般の方に声をかけて本を出すという方法が増えているようです。

ネットが普及して、小説の世界も変化してきているという印象はあったのですが、出版社側が小説の書き方やルールも教えずに、一般人に対して出版OKにしているのを知ったときは、さすがにショックでしたね。

元声優:原稿料安そうですね。

元小説家:たぶんそうだと思います。言葉は悪いですが出版社側からしたら、すごく使いやすいのかも。案の定ある方は、書いた経験がなく文章はめちゃくちゃです。自ら作家と名乗っているのですが、修正が多いようです。でも出版社はそれをよしとしているようです。フリーの小説家と名乗る人が多く、声優界と同じだなと。

文章を分からないままで、自称小説家と言っていて『なぜ私は認められないのだ』と発言しているのを見て、古い考え方かもしれませんが、やっぱり投稿して受賞するのは大事だと思うのです。私自身も大小問わず100件くらい投稿しましたしー。そういうの大切だと思います。

フリーとか自ら作家と名乗れる時代なんだなと思いました。

第1部終わり

今回は、各世界で活躍した、活躍している方々に現状についてお話をしていただきました。我々、一般消費者からでは感じることができない部分を、やはりプロは感じとっているのが分かります。

各分野、表現において、敷居が下がることは決して悪くないのですが、やはりその世界、その領域での一定のルールなどは必要ではないのか?と感じました。

筆者の場合は、ライティング(ライター職)という世界から鼎談を拝見しました。創作家とビジネスマンの垣根はあれど、うなづける場面がいくつもありました。

なお、なかなか濃い内容を語り合っていましたが、意外と和やかな雰囲気の中、お話をしていただいております。

次回、第2部もご覧ください。

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